最終更新日(2021/6/13):読者からの感想を追記して全3,500文字。
最近「マジカル・アイ」という本に出会い、今まで知らなかった世界を知った。ステレオグラムの二次元の画像が、特殊な見方をすることで三次元的に立体視できるというものだが、これが見える過程や見えたときの感動は、夢分析にも似ている。
ものの見え方は、見ようとする意思と方法と脳によって決まるようだが、夢の捉え方にも同じようなことが言えると思う。(2,800文字)
マジカル・アイとは
マジカル・アイをご存知ない方のために、どういうものか簡単に説明する。
ここに、ごく平凡な図柄がある。
この模様は隠し絵でもだまし絵でもないので、どんなに長い時間眺めてみても何も見えてこない。
ところが、「特殊な見方」をすることで、ぼんやり形が出てきたかと思うと、(そのままうまくいけば)サイコロみたいな立方体がこのようにはっきりと3Dで飛び出して見える。
(実際には白黒ではなくカラーだが、このぐらいくっきりと見える。)
「別の特殊な見方」をすると、こんどはその形が箱の中身を見ているように奥に引っ込んだ3Dとして見える。
立体的に見える不思議な世界といえば、赤と青の3Dメガネを思い出すだろう。子供の頃、雑誌の付録についていたり、映画館で渡されたアレ、正式名称はアナグリフ画像を見るためのアナグリフメガネという。
ところがマジカル・アイはメガネをかけない。必要なのは「特殊な見方」のみ。平行法・交差法という2種類のその見方にはコツが必要で、それほど簡単ではないので、教えられたとおりにやっても、どうしても見えてこないという人も結構いる。
わたしは、初日から見えるようにはなったが、毎日続けても今のところ慣れたり上手になったりすることはなく、もうすぐ見えそうというところでぼやけてしまって振り出しに戻ったり、一瞬、はっきり見えた!と思ったら次の瞬間にはまったく見えなくなったり、一度くっきり見えるようになった画像でも、次にもう一度見たときは見えてくるまでに10分以上もかかったりすることもある。
まとめてみよう。
●見るためには、特殊な焦点の当て方が必要。
●方法や理屈を理解しても、簡単には見えない。
●見よう見ようと力むとかえって見えない。ぼーっと見るのがコツ。
●見えかけてもまた見えなくなったり、1回きれいに見えても、次に見たときはさっぱり見えなくなったりする。
●焦点の当て方によって、図形が飛び出して見える、または引っ込んで見えるが、両者は、同じ形のたんなる凹凸の違いを超えて、それぞれ独特のまったく違った世界が広がる。
●はっきり見えたときはえもいわれぬ深い感動に包まれ、ずっとその世界に止まりたいと思うほどである。
●何がどう見えたかを客観的に示すことはできない。
●非現実の世界であり、保持し続けることは極めて難しい。
この特徴は、そのまま夢分析にあてはまる。
マジカル・アイと夢分析の共通点
悪夢とか強烈で印象的な夢とか、あるいは自分にとって大切な人が出てきたとかでもない限り、ほとんどの人は、たとえ夢を覚えていてもとくに感じ入ることはない。上に挙げた平凡な模様を見せられたときと同様に、自分が見た夢を重要視することもなくそのまま忘れてしまう。
それもそのはず、夢を理解するためには、特殊な焦点の当て方が必要なのである。特殊な焦点の当て方をすることによって、夢は、マジカル・アイのイラストが突然見えてくるように、突然、生き生きと夢見手に語りかけてくる。
夢分析の方法や知識は必要だが、それを知っているだけではだめだということもマジカルアイと同じだし、あまり真剣になりすぎず、ぼんやりと夢のイメージの周りをふわふわ漂うことがコツであることも似ている。
夢の意味はわかったりわからなかったり、わかったと思っても、次に見たときはまたわからなくなったりすることもある。
焦点の当て方によって、まったく違う解釈も成り立ち、どちらも間違いではない。
夢のメッセージがはっきりわかったときは、えもいわれぬ深い感動に包まれ、ずっとその世界に止まりたいと思うぐらいなのだが、その感動を他人に伝えたり共有することは難しい。また夢の属する無意識の世界は、現実の世界とは隔たりがあるので、その感覚や感動を保持し続けることも難しい。
わかる人にしかわからないような話になってしまい、「夢分析ってなんなのか、ますますさっぱりわかりません」という声が聞こえてきそうです。
マジカル・アイの平行法とか交差法に相当するような「特殊な焦点の当て方」を具体的に教えてもらわないと、想像がつきにくいです。
ものを見るのは目よりも脳
ところで「透視」ができる人に、透視で見える世界は普段見える世界と同じぐらいはっきりしているのかと聞いたところ、同じどころか、それよりももっと鮮明に見えると言われてびっくりしたことがある。
マジカル・アイ体験をしてその人のことを思い出し、わからないながらもなるほどと思った。特殊な見方によって見えてくる世界は、たしかに日常の世界よりもっと鮮やかと言ってもよいものだったのだ。
信じられない方は、立体視の例として以下の簡単な実験を試していただきたい。マジカル・アイの魅力的な世界には劣るが、わたしが言いたいことは伝わると思う。
まず、人差し指をこのような形でくっつける。(図ではくっついていないがくっつける。)
このあとのやり方は二種類ある。どちらでもOK。
【やりかた1】手の形をこのまま崩さず、両手を自分の方に少しづつ近づける。
または
【やりかた2】手の形と位置はこのままで、視線を手の背景の遠いところに移す。
どちらのやりかたでも、指の間に、ソーセージが出現する!
ソーセージが見えたところで、ゆっくり左右の指を離すと、ソーセージが空中に浮遊!
※二本指でもできる。原理を知りたい人はこちらのページへ:「科学実験データベース:宙に浮くソーセージ」
あるはずのないソーセージの存在感が、実際に存在する指より鮮明に感じられなかっただろうか。
夢もまた、現実よりリアリティがあると感じる人もいるし、ユングも夢を見ている私と夢の中の私のどちらが本当の私なのかという、哲学的な問いかけをしていた。
ちなみに前述の透視のできる人に言わせると、マジカル・アイ同様、透視も誰にでもできるそうだ。
ふーむ・・・
参考本:「マジカル・アイ」
この本を1週間前から毎日、見ています。
本書に掲載されている作品は、アメリカ人3Dアーティストふたりによるもので、以下のサイト内で彼らのイラストが見える。
●ジーン・レビーン Gene Levine
http://www.colorstereo.com/
●ゲイリー・プリースター Gary Priester
http://www.custom-stereograms.com/
いきなり見えるようになった瞬間、おぉ~!と感動しました!
最初は見方がわからなくて何度も何度も試していたところ、突然見えるようになりました。それまで意味の分からないイラストだったのが、いきなり立体で浮き上がり、物凄い感動しました!
時間を忘れて見てしまいます(笑)
(アマゾンレビューより ルナさん)
私には何も見えません。
無駄な買い物をしてしまいました。
(アマゾンレビューより くみすけさん)
老眼対策に軽い気持ちで購入しましたが、思いがけない発見があって大満足です。
読者からのおたより
私は数秒でマジカルアイができます!
瞬きしても大丈夫! そのままずっと見ていられますよ。
時々普通に生活していて、ぼぉーっとして一点を見つめているとマジカル・アイになります。人と話していてそうなっている時もあります。
「マジカル・アイになる」とは面白い表現ですね。こんな感じでしょうか。
そういえば昨日、公園で出会った人が私と話しているときにマジカル・アイみたいになっていましたが、見られている方は変な感じがしますね。その人は、確かに私の方を見ているのですが、私を貫き通して何かを見ているような不思議な感覚でした。
こんど、「マジカル・アイ」になっている人がいないか気をつけて探してみよう。
マジカル・アイの本は、何年も前から我が家にも数冊あります。夫が目の筋肉を鍛える為にやっていました。そのせいなのか、老眼になるのが遅かったようにも思いますが、よく見えていないのに、見えていると言っていたり?怪しいものでしたが…。😬
私にも勧められましたが、私はなかなかできず、面倒くさいのでやらないまま今の目の状態に至りました。😰
子供の頃から、トイレに座っている間に壁を見つめていると模様が浮き上がって見えたり、障子の桟をぼーっと見ていると、区分けされた部分が重なってひとつに見えたりするので面白くてよくやっていましたよ。やりませんでした? え、僕だけですか!?
ここ数年、パソコンの壁紙もこの模様にするぐらいハマってます。最初は視力回復に良いと聞いて始めましたが、最近は、それに加えていわゆる変性意識状態になる感じが面白くてやっています。
わたしは50年以上生きて、初めて知った世界でしたが、みなさん、ずっと前から知ってたんですね。