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「少年時代」、夏の終わりの井上陽水と個人的な回想録

井上陽水の「少年時代」と、息子の少年時代の回想録。(2,400文字)

夏の終わりになると、夏の追憶と共に井上陽水の「少年時代」を思い出すという人の話を聞いて、何十年も忘れていた懐メロが反射的に頭の中を流れてきた。
”少年時代に見たふるさとの風景、その普遍的な美しさを歌った”と言われる「少年時代」が名曲であるのは間違いないが、「少年時代」という言葉にはそれだけで「少女時代」とは違うノスタルジックな響きがある気がする。

「少年時代」というお題に突き動かされた井上陽水

井上陽水(1948-)がこの歌を作った(1990)のは、40代に入り、仕事の上で熱意を感じられなくなっていた低迷期だったという。飲み仲間だった藤子不二雄Aの漫画「少年時代」が映画化され、藤子Aがその映画の主題歌を陽水に頼んだのだが、待てど暮らせど歌が出来上がってこなくて関係者一同、気を揉んだそうだ。藤子Aは、映画関係者たちから矢のような催促があって何度も陽水に電話をかけようとしてはぐっと我慢し、果たして最後の最後のギリギリにできあがった歌を聞いて大満足したとのこと。陽水は、全国ツアーをキャンセルして、4週間、一度も自宅に帰らずスタジオにこもって曲作りを行ったそうで、藤子Aによると「少年時代」というストレートなタイトルが、井上陽水を突き動かした。

※「少年時代」の作詞は井上陽水だが作曲は平井夏美こと川原伸司との共作。

井上陽水「少年時代」こぼれ話

ウィキペディア等々から知った雑学、ご存知ない方のためにご紹介します。

1. 藤子Aの作詞はボツにされた

藤子Aは、「ラララ♪」というハミングと共に始まる、「君と出会い、君と笑い・・・」という自作の詩を作成し、陽水に作曲だけ依頼したが、完成した歌には藤子A(本名 安孫子氏)が提供した歌詞はまったく使われておらず、陽水はのちにそのことに対して「安孫子さんの心をもらった」とコメントした。

2. 歌詞の「風あざみ」も「宵かがり」も井上陽水の造語だった

「少年時代」の歌の出だし部分は、「なぁーつがすぅぎぃー、かぜあざみぃー(夏が過ぎ、風あざみ)」(1番)、「なぁーつまつぅりぃー、よいかがりぃー(夏祭り、宵かがり)」(2番)で、音で聞いても文字で読んでも違和感なく、どちらも美しい響きの日本語だと誰もが信じて疑わなかったと思うが、「風アザミ」も「宵カガリ」も陽水が口ずさんで発生した、ありそうでない日本語だった。オニアザミという植物はあってもカゼアザミはなく、さらにアザミは春の植物なので季節も合っていないとか。

3. ピアノ伴奏を担当したのは来生たかお

陽水(1948-)は、「この曲の”どこか未完成でまだまだ上達する余地のある少年”のイメージにぴったり」くるからと、レコーディングのときのピアノ伴奏を旧知の来生たかお(1950-)に依頼し、望みどおりの演奏をしてもらった。

観客の前でふたりの共演による「少年時代」が実現したのは、1999年の陽水のライヴが初めてだそうです。この動画の4分30秒のところから始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=M_yzPwJAmDQ

4. 宇多田ヒカルも「少年時代」を歌った

井上陽水デビュー50周年記念の「井上陽水トリビュート」(2019)には、宇多田ヒカルの歌う「少年時代」が収録されている。

井上陽水と藤子Aと映画「少年時代」が全部観れる8分動画

有名すぎる歌に比べてあまり知られていない「少年時代」の映画(東宝1990)の方は、昭和19年の富山を舞台に、そこに疎開してきた都会の少年と地元の少年との友情と葛藤を描いたもの。テレビドラマ「ふぞろいの林檎たち」でお馴染みの山田太一が脚本を書いている。
映画の雰囲気もわかる8分動画を見つけた。ナレーションは宮沢りえ。

「少年時代」の歌はみなさんすぐに聴けますので載せませんが、この動画は掘り出し物です!

この歌、小学校か中学校で合唱曲として歌った記憶があります。
作られた背景も映画も知りませんでしたが、この動画の走って見送るシーンを見ただけで、涙がポロポロこぼれてきました。

この歌を聞くと、中1の夏の可愛い小さな初恋と別れを思い出します。

大好きな歌で、30年間、季節を問わず聴き続けています。何回聴いてもいい歌です。映画も数年前に観ましたよ。

辛いことがいっぱいあったから、子供時代が美化されるのって苦手です。

本当に人生は走馬灯。
気がついたら熟年夫婦になってました。

私が夏の終わりに聴きたくなるのは、フジファブリックの「若者のすべて」です。

息子の少年時代

10年前、6歳だった息子の写真をもらったとき、過ぎていくこの瞬間の価値を実感し、なんとなく切ない気持ちになりながら写真立てに収めた。

隅に2013という数字が刻印されたこのミキモトの写真立ては、その年に息子さんが結婚した人にいただきました。あれから10年、息子は高校1年生になり、2013年に結婚した息子さんはふたりの息子のパパです。

ついでに写真立ての後ろの人形は、1998年に初めてヨーロッパを旅行したときに記念に買いましたが、そのときドイツに住んでいた友人もその後息子ふたりの母になり、今やふたりとも立派な大人になっています。

他にも 息子さんのいるパパやママたち の顔がいろいろ思い浮かんできました。

息子が小学校1年生のときに書いた親エッセーに掲載した4コマ漫画。

時々、この漫画を思い出しては後悔しています。(とーなんの夫 )

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「笑うセールスマン」は、藤子不二雄Aの漫画です。

藤子不二雄Aの「まんが道」も、胸熱のおススメのコミックです。

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