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自粛警察は日本人の「影」(ユング心理学)──関東大震災朝鮮人虐殺も

過ちを繰り返さないための歴史

「九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響」加藤 直樹 (2014)の帯には、いとうせいこう氏のことばもあるが、コロナ騒動や自粛警察の教訓にもなりそうだ。

歴史は繰り返すという。
だが、過ちを繰り返さないためにこそ歴史があるのではないか。

いとうせいこう

禅僧 藤田一照師のことば

いろいろな人に教えてもらったいろいろな人の言っていることが全部つながってくるのだが、数日前に紹介してもらった動画で初めて知った禅僧 藤田一照師の言葉もこの文脈に合致するので、すっかり長くなったこのコラムの結びに引用させてもらいたい。

藤田一照師は、歴史はずっと続いているもので、自分は、自分が生まれる前に起きた敗戦の影響を受けている社会で生きていると言っている。その意味で、コロナもその延長にあると。

師は帰省警察(この言葉は使っていないが。)を指して、「たとえば田舎から帰ってきた人に中傷の手紙を入れて・・・ああいうの嫌ですね。そういうことを日本人ってやりがちなので・・・そういう僕らが解決できていない負の遺産みたいなものが先行きの見えない不安な時代には浮かび上がってくる」と言う表現をしていた。

過去と現在はつながっていて、わたしたちが「解決できていない負の遺産」のひとつの形が自粛警察と言えるのだろう。

それは悪魔が現れるようなものじゃないですか。それをちゃんと、くさいものにふたとか、見ないようにするのではなく僕らの中にひとりひとりあるよねということでどうやってそれを糧にして解消していくかを、ヒートアップしないで、ざっくばらんに賢く話していくのが必要だと思います。

Youtube お寺で対談⑧ 「新型コロナウイルスについて」より

このコラムにいただいたコメント

最後の藤田一照師の言葉が一番納得できました。

確かに日本人の特徴でもあるわけですが、スイス人も、匿名ではないにしろすぐ警察に通報しますよ。

ただ私が気がついたことは、日本は自粛警察を政府が利用しているのではないかということです。
私も、自粛警察の人に対して腹立たしく思いますが、そういう人は仕方がないです。そういう人だから。
でも、それを利用している政府にはもっと腹が立ちます。
こうやって国民同士をバラバラにして、不安を煽り、弱い政治の力を強く見せかけた上、政府ができないことを、自粛警察に任せているのではないでしょうか。
私は政治のことはよくわかりませんが、このような仕組み?を腹立たしく思います。
そこがスイスと日本の違いかもしれません。
自粛警察や村的な性格は、スイスとよく似ていますが、スイスでは、そういうものを政府が利用すると言うことはないです。まぁ、反対にすぐルールで縛るところはありますが。

日本人の影だけにとどまらない、人間に普遍的な影の話だとも思いました。細かいエピソードは、確かに日本人に限った話ですが、全体の主軸でいうとこれは、世界中の人々に当てはまります。

(2020年9月14日追記)
このコラムは元はここまでで終わりだったが、付録資料として朝鮮人虐殺についてクロムさんからいただいた情報を次のページにまとめた。

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