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自粛警察は日本人の「影」(ユング心理学)──関東大震災朝鮮人虐殺も

2020年9月14日:9月12日に放送されたNHKニュース「関東大震災だけではない──新型コロナと差別」の内容を追加。全6ページ、9,800文字。

ユング心理学用語の「影」については、すでにこのサイト内のあちこちで述べてきた。それは人の性質の中にある否定的側面であり、自分が持っていることを隠したいと思うような不愉快な性質であり、しかし、人間の本性に備わっている──誰もがもっている──劣等で無価値にみえる性質である。

このコラムにまとめた「自粛警察」は、たしかにわたし自身の内なる自粛警察である。

奇しくも本日(2020年9月1日)は、97年前に関東大震災が起きた日で、当時、震災の混乱の中で、官憲や民間の自警団などによって多数の朝鮮系日本人が殺害された。こちらは本物の警察も関わった話だが、自粛警察と決して無関係とはいえないような歴史的事実だと思う。(事実だと認めない人もいる。)
東日本大震災(2011年3月11日)のときに、冷静さや秩序正しさ、絆の強さによって世界中の人を感動させた日本人の素晴らしさの「影」に、行きすぎた正義感による自粛警察や朝鮮人虐殺があり、両者は対にして表裏一体をなしているとも言えるのではないだろうか。

自粛警察とは(ウィキペディア)

「自粛警察」はウィキペディアにすでに載っており、2020年9月1日現在、日本語以外には中国語のページもある。

自粛警察とは:コロナウィルス感染拡大防止対策として出された緊急事態宣言※ に伴う、行政による外出や営業などの自粛要請に応じない個人や商店に対して、偏った正義感や嫉妬心、不安感から、私的に取り締まりや攻撃を行う一般市民やその行為・風潮を指す俗語・インターネットスラングである。

※4月7日に東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県を対象に発令されたあと、4月16日に期間は5月6日までとして全都道府県に拡大した。拡大の背景には、ゴールデンウィークを控え、人の移動を最小限に抑制する狙いがあった。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による社会的風潮のひとつとして生じた。コロナ自警団自粛自警団、又は自粛ポリスとも呼ばれる。

自粛はあくまで自らの意思で行うものであるにもかかわらず、他人を密告したり噂話を広めたりする行為が、国民精神総動員下における国民同士の相互監視社会や、第二次世界大戦時の日本におけるスローガンの『欲しがりません勝つまでは』を連想させる内容を連想させるとして、TwitterなどのSNS上で、「まるで戦時中の隣組のようだ」囁かれ話題になった。

自分の行動だけではなく、他人の行動にまで過剰な興味を持ち、干渉する一部の人間の行為が問題化し、歪んだ正義感や嫉妬心による「取り締まり」行為への対処は煩雑さを極めている。

ウィキペディアより

自粛警察の具体例

●地域のコールセンターに対する「どこそこの店が営業している」といった内容の通報。(たとえば大阪府では、4月20日までに500件以上。)

●新型コロナウイルスに関する苦情やトラブルなどの110番通報。
(たとえば4月だけで愛知県警察本部に3月の40件と比べ5倍以上の220件以上に及んだが、その内容は、休業要請や外出の自粛に応じていないと指摘する通報が多く、緊急性のないものが主だった。)

●休業要請に店舗などが応じていないとSNSなどで指摘する行為。

●外で遊ぶ子供をターゲットにした嫌がらせや通報をする行為。
(公園で児童を遊ばせないように、砂場にカッターの刃をばら撒く罠を仕掛ける行為も発生している。)

●夜間などの閉店時にシャッターに誹謗中傷の紙を貼りつける行為。

●他県ナンバーの車に嫌がらせする「県外ナンバー狩り」。

●医療関係者の住居への投石。

●お盆に帰省した人を罵倒する手紙を貼り付ける「帰省警察」。

●マスクを外している人を非難する「マスク警察」。

自粛しなくても警察に捕まることはないが、たとえば張り紙による名誉毀損や営業妨害、投石による破壊行為など、自粛警察の行為は違法になる可能性があるというのも皮肉だ。

出典:@metakobot
 

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