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「不倫は絶対にいけない」という正義に対して鴻上尚史が炎上覚悟で言ったこと

鴻上尚史が、不倫は「人間のどうしようもなさ」のひとつの現れであるとしながら、「人間のどうしようもなさ」がタブーになった世界は、息苦しい空間になるだろうというのに共感した。(1,700文字)

「鴻上尚史のほがらか人生相談」、最近は共感できないことが多くなってきたてのですが、この回答には久しぶりに共感して、なんかスカッとしました❗️😉

情報ありがとうございます。わたしもスカッとしましたのでブログで紹介させていただきますね。

鴻上尚史のほがらか人生相談

以下、48歳で初めてつきあうことになったが、相手には家族がいて「不倫の関係」だと悩む女性Tさんへの、鴻上尚史からのアドバイスを抜粋して紹介。記事全文はこちら

僕がTさんに「不倫の恋でもいいじゃないですか」と言うと、「不倫は絶対ダメ。人間として最低」と思っている人から、激しい攻撃を受ける可能性が高いです。とくにネットでこの文章を読むと「鴻上はとんでもない。最低の奴だ」と炎上するかもしれません。

でも、「不倫はどんな場合でもダメ」と完璧な正義のルールを主張する人は、不倫する人の気持ちをあまり分かってないんじゃないかと僕は思っています。

僕は「不倫している人は苦しんでいるから許せ」と言っているんじゃないですよ。「不倫は文化だから認めろ」と言っているんでもないです。胸を張って主張できないことは分かっている。でも、好きになってしまったんだ。この感情は真実なんだ。愛おしいんだ。という、「人間のどうしようもなさ」は存在するんだ、と言いたいのです。

Tさん。だから僕は今の生活を、精一杯生きることをお勧めします。これから先、何が起こるかなんて、誰にも分からないんです。48歳で初めて経験する「人を愛する喜び」を思いっきり味わって下さい。それが僕のアドバイスです。

鴻上尚史

正義をふりかざす人たちはそんなに立派な人たちなのか

鴻上尚史のアドバイスの中で面白かったのは、以下のくだりである。

「不倫は絶対ダメ」という人達は、「そうなったとしたら、すぐにやめるべきなんだ」と断定します。
そういう人は理性で自分を完全にコントロールしている人だと思います。
ダイエットは簡単にやりとげられるし、仕事をちゃんとハンドリングできているし、仕事と遊びの区別もちゃんとできている人でしょう。ダラダラとテレビを見続けたり、甘いものをつい食べてしまう、なんていうだらしない生き方は絶対にしてない人だと思います。
そういう人は絶対に不倫しないので、不倫している人の気持ちが理解できないんですね。

鴻上尚史

わたしにはこの箇所は、皮肉にも聞こえた。正義をふりかざす人の中には、「人間のどうしようもなさ」が自分の中にもあるのを認めたくないからこそ、世間で受け入れられている倫理や道徳を声高に主張する人もいるのではないだろうか。

正義の人たちが台頭する世の中はつまらなくなってくる

この箇所にも考えさせられた。

でも、この主張も「ふざけたこと言うな」と言われる可能性があります。
やがて、こういう主張は、ネットに現れる文章ではもう書けなくなる可能性が高いです。
正義の人に攻撃されて、炎上するなんて、みんな嫌ですからね。
だから、表向きは発表できなくなるでしょう。
でも、「人間のどうしようもなさ」はなくならないのです。
だから、こういう感情は地下に潜って、公には発表できなくなるでしょう。言えないけれど存在する。
「人間のどうしようもなさ」がタブーになった世界は、クリーンで道徳的で秩序立って、本当に息苦しい空間になるだろうと思います。

鴻上尚史

最近、インターネット検索すると、「クリーンで道徳的で秩序立った」、北原白秋のことばを借りると「無味乾燥な」、型にはまった”おまとめサイト”のようなものばかりが上位にヒットするのも無関係ではなさそうだ。

さきほど北原白秋のブログを書きましたが、北原白秋は不倫して「姦通罪」で告訴されています。人気詩人としての名声は、これによって一時、地に堕ちたそうです。(※ブログには私生活については触れていません。)

鴻上氏は、不倫がテーマになっているトルストイの「アンナ・カレーニナ」も、そのうち上演されなくなるのではないかと冗談まじりに危惧していたが、それは大いにありうると思う。

アンナ・カレーニナをイメージしたイワン・クラムスコイの作品

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正義を振りかざす人の心理、鴻上尚史はこう語る(2019.10.27)

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