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89歳で開業した91歳の精神科医からのアドバイス:「私さえ我慢すれば・・・は悲劇のヒロインの妄想」である。

現在91歳で週に6日間働いている女医さんのことを教えてもらった。5人の子供を出産後、14年のブランクを経て51歳で仕事に復帰、自分の医院を開院したのはなんと89歳だという。以下、その方の著書「ほどよく忘れて生きていく」(藤井英子、サンマーク出版 2023年)より抜粋。(1200文字)

「私さえ我慢すれば」なんて、 悲劇のヒロインの妄想です。 一方的な我慢をやめることは、自分のためであり、周りの人のためでもあります。
もしも、今、ご自分を取り巻く環境の中で、「私さえ我慢すればなんとかなる」と思っているのだとしたら、一度ご自分にこう尋ねてみてください。
「私が我慢することで、本当にうまくいっているのだろうか」
「私が我慢するのをやめたら、困る人がいるのだろうか」
 実は、一方的な我慢というのは、自分に我慢させている(と自分が思っている)相手には伝わっていないことが多々あります。
(中略)
自分ひとりでしなくてもいい我慢はやめることです。周囲に助けを求めると、自分だけでなく周りも救われることのほうが多いのです。

藤井英子

私は産婦人科医として7年間、そして精神科医として30年以上、患者さんからたくさんのことを教えてもらいましたが、この本を通してお伝えしたいのは、他の誰でもなく、自分から目をそらさないでほしいということ。自分をまっさきに大事にし、自分の声を聞き、自分をいたわり慈しむこと。
そのために、必要ないものを「忘れる」ことで、自分が本当に大切にすべきものごとが見えてきます。だからあなたも、誰かのことはいったん忘れて「ご自分を大切になさってくださいね」。

藤井英子

人は社会性を持つ生き物です。誰もが少なからず、誰かのために心とからだを砕いて生きています。
自分ひとりだけで生きていたなら、起きないことや感じないさまざまな困難を抱えながらも、やっぱり人は、ひとりでは生きられない。
だからこそ、普段から大切にしてほしいのは、何より自分を大切にすること。自分を後回しにしないことです。
「誰か」のために、毎日を駆け抜けてきた人こそ、ほどよい加減で、その誰かを「忘れてみる」と、自分を大切にできたり、自分の気持ちに気づけたりするかもしれません。
「後悔」に囚われている人も、それを「忘れてみる」ことで、新しい挑戦をはじめることができるかもしれません。

藤井英子

正義感が強くてまじめな人ほど、ものごとを白黒はっきりさせたいのかもしれませんが、世の中のほとんどは曖昧で、見方によって真逆です。正義も、こちらから見ればこちらが正義、あちらから見ればあちらが正義。白黒つけるなんてできません。

藤井英子

などなど、ものすごく特別なことをおっしゃっているわけではありませんが、ご年齢だけでありがたく拝聴させていただきました。

うらやましい人生です。私も100歳まで健康でいたいです。

わたしは、ここまで来ればあとは粛々と人生の終わりを迎えるだけだと思っていたので、その終わりがまだまだ先かもしれないと思うと複雑な気持ちになります。

【参考・引用】
・藤井英子「ほどよく忘れて生きていく」:2023/6/16よりオーディオブックの配信も開始。
文春オンライン(冒頭の秋月 雅氏撮影の写真の出典もこちら。)

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