ビル・ゲイツについては悪いうわさも聞くし、とくに良い印象を持っているわけではないことをお断りした上で、「ちょっといい話」を紹介する。(1,500字)
ビル・ゲイツのちょっといい話
マイクロソフトの創業者で億万長者のビル・ゲイツは、「世界にあなたより金持ちがいると思いますか?」と聞かれたとき、「はい。」と答えて、こんな話をしたそうだ。
ビル・ゲイツが成功して有名になる前のこと、ニューヨークの空港で、新聞を買おうとして小銭を持っていないことに気づいた。仕方なく新聞を戻そうとしたら、売り子が代金は要らないと言って新聞をくれた。
それから数ヶ月後、同じ空港に降り立ち、同じ売店で新聞を買おうとしたが、またしても小銭を持っていなかった。売店には前と同じ売り子がいて、また新聞をくれようとしたので、2度もタダでもらうのは気が引けて断ったのだが、売り子が、代金はちゃんと自分の賃金から差し引くし、自分はこの新聞代ぐらいじゃ困らないから持っていけと言うのでそうした。
それから19年後、世界中で知られる億万長者になったビル・ゲイツは、ふとした瞬間にあの売り子のことを思い出し、1ヶ月半かかって彼を探し出して会いに行く。
ビル:「わたしのことがわかりますか?」
売り子:「ビル・ゲイツさんでしょう。」
ビル:「昔、わたしに無料で新聞をくれたのを覚えていますか?」
売り子:「覚えていますよ。2回あげましたよね。」
ビル:「ぜひあのときのお返しがしたいのです。あなたの人生の望みはなんですか。どんなことでもかなえてあげましょう。」
売り子:「僭越ながら、あなたにお返しができるとは思いません。昔、新聞の売り子だった貧しいわたしがあなたを助けましたが、今、世界一の大金持ちになったあなたがわたしにお返しをしたいと言っても、それはわたしがしたことと同じことにはなりませんから。」
この言葉を聞いたとき、ビル・ゲイツは、金持ちになってはじめて人助けしようとした自分より、金持ちになるのを待たないで人助けした彼の方が、金持ちであると悟った。
Bill Gates said, “I realized that day that the newspaper vendor was richer than I was.” Because he didn’t wait to become rich to help someone. We must understand that the truly rich are those who have a mind richer than a lot of money. Having an expensive mind is more necessary than a lot of money.
英語のQuoraより引用
ユング研究所の中高年留学生たち
この逸話からいろいろなことが頭をよぎりましたが、これはそのうちのひとつで「いい話」とは無関係の話です。
上の「金持ちになるのを待たないで」の箇所で思い出すのは、わたしがスイスのユング研究所に留学していたときの同僚のアメリカ人たち。
スイスに4、5年も滞在してユング派分析家の資格を取るためには多額の資金が必要だが、趣味で留学しているような大金持ちのアメリカ人もいた一方、自宅を売り払って留学資金を作って来たという人たちもチラホラいて、彼らの潔さに驚いた。留学生といってもみんな中高年。そんな大胆な留学生は日本人にはいなかった。
売るものがなくて資金が作れなくてもとりあえずスイスに来て、学生ローンを借りながら、犬の散歩などのアルバイトをしながら、毎日缶詰を食べながら分析家の資格を取った50代のカナダ人もいた。
日本には、貯金が大切、貯金が美徳という価値観がありますが、ヨーロッパには、貯金をする人は少ないです。これからの時代、それでもなんとかなるのかどうかはわかりませんが…。