五角形の合格寿司とスウェーデンの教育システムについて。(3,200文字)
2026年の大学入学共通テストが1月17日(土)・18日(日)に実施された。毎年、この時期になると鮮明に思い出す記憶があり、検索してみたらなつかしい資料が見つかったので書いておく。
小僧寿しの五角形の合格寿司
田舎の高校3年生だった40年前、共通一次試験を1週間後に控えた週末のこと、自宅で昼ごはんを食べていたら電話が鳴った。母が出て、「今、合格寿司を食べてます。」と答えているのが聞こえた。
誰かと思ったら担任の先生からだった。
その日は、試験会場の下見の日で、「来てないのは、とーなんさんだけですよ。何してるんですか?」と叱られたそうだ。
倉敷から電車やバスを乗り継いで、先生に引率されて、わざわざ会場の岡山大学に行くだけなんて面倒だし無意味、そんなヒマがあったら受験勉強でもした方がいいと思ったのだが、行かなかったのが自分ひとりだけだと知って驚いた。みんな行きたかったのか、ただ従順だったのか、聞いていないのでわからないままである。

この画像はYoutubeで見つけた。森田健作が教師役のこの1986年のTV広告(15秒)は記憶にないが、田舎の共学の公立高校の雰囲気はこんな感じだったし、こんな男子生徒もたいていクラスにひとりはいた。その後、「小僧寿しチェーン」がなくなったと思ったら、当時が全盛期だったようだ。
日本の国立大学受験制度
1986年1月25・26日までの8年間は、試験科目が国語・数学・理科・社会・英語の5教科7科目(理科2科目・社会2科目は選択制)で合計1000点満点。受験生は自身の共通一次試験の結果を基に全国の国公立大学の中から1校のみ(1学科のみ)を志願して2次試験を1回だけ受験することができるという大学受験制度であった。
(ウィキペディアより)
科目としては7つでも、国語は現代国語、古文、漢文の三種類、数学も数I、代数幾何、基礎解析の三種類で、11科目とカウントしていたような覚えがある。
我々はこのルールで「共通一次」を受けた最後の学年で、1987年から毎年変更が加えられる3年を経て、1990年から「センター試験」に、そして、最近まで知らなかったが、2020年からは「共通テスト(通称キョウテ)」になっている。
「受験地獄」にならないようにと、識者たちが知恵を出し合って何度も改革が行われているようなのに、今の日本の受験生の話を聞いても、受験地獄そのものの印象を受ける。
自分のことを言えば、一流大学を目指そうという野心も周りからのプレッシャーもまるでなかったし、3年生の夏休みから始めた受験勉強は、期間限定だったせいか楽しかったので地獄は経験していない。高校3年生の1学期まで遊び呆けたので成績は下がり切ったが、その分、青春時代を謳歌し満喫できた。
と思っていたが、ヨーロッパに来てこちらの教育事情を知ると、あまりの違いにうらやましくて地団駄踏んだ。自分たちが満喫した青春時代、こちらの中高校生と比べてなんとスケールが小さかったことか、青春を楽しむというのはこういうことだったのかと愕然とした。
あれほど受験を意識させられ、11科目の大学受験勉強で身についたものがほとんどないというのも悔しいし、専攻学科を選ぶ際には何ひとつ考える材料が与えられず、ただ流されるままだったのもなんともいえない。
とーなん医師や僧侶など親の後を継ぐと決めて、あるいは幼少の頃から将来、自分が何になりたいかわかっていて、それに合わせて大学を選んでいた高校生もいたはずですが、周りにはいませんでした。
スウェーデンの教育システム
スウェーデンの大学入学制度
国によって事情が異なるので比べても仕方がないし、スウェーデンにもたくさんの問題があるが、教育システムに関しては、スウェーデンは素晴らしい。大学に行きたければいろんなルートがあり、誰でもいつでも無料で大学で学べる。



今まで具体的なことは知らなかったので、この機会に調べてみました。
- 【最強カード】年に2回実施される大学入学能力試験(Högskoleprovet:国語、英語、数学、計8時間の1日試験。)で高得点を取り、かつ高校で自然科学(理系)を専攻していれば、高校卒業後、好きな大学の好きな学科に進学可能。結果は5年間有効。
18歳になる年※から受験可能で、高校2年生でも受けられる。一発勝負でこのテストで高得点を手に入れたあとは、高校では単位さえ取れば成績の良し悪しを気にする必要がない。
※スウェーデンの学校は新年度が8月から始まるが、生まれた年によって学年が決まるので、1月1日生まれ〜12月31日生まれが同級生になる。半数の生徒が19歳で高校を卒業する。 - 【一般的】高校の成績で進学する。成績は生涯有効。
個別の大学入試試験はなく、成績によって合否が決まる。
成績は絶対評価。年に数回、全国統一テストが実施され参考にされる。
つまり、レベルの高い高校に成績のいい子が多い。
(しょせん各高校がそれぞれつける成績なので、基準があるとはいえ完全に公平とはいえないという声もある。)
もし、オールAでなければ入れないような難関大学に行きたいのに、自分の成績がそれに満たない場合は、上の全国共通テストを何度でも受験可能。 - 【その他】高校の成績が足りなかったり、高校の専攻によっては、行きたい大学の学科を志願するのに必要な科目を履修していない場合は、社会人学校(Komvux)に行って該当科目をやり直すことができる。社会人学校も無料で、短期集中コースから、働きながら長い時間をかけて取るコースまでよりどりみどり。
- 特定の職歴で、短縮プログラムや試験の免除制度もあり。
※ これらの項目を組み合わせて、各大学入学に必要なポイントを貯めることもできる。
学費は、スウェーデン人だけでなく、EU市民やスウェーデン居住者も無料だが、それ以外の留学生は全額自己負担。



日本人で、高校の成績を提出してスウェーデンの大学に入る人もたくさんいます。
こんなシステムで、何歳になってからでも気軽に大学生になれるので、「若い頃にもっと勉強しておけばよかった」という人は、スウェーデンにはいない。
「若い頃は勉強は嫌いだったけど、就職してからXXXに興味が湧いて、大学生になって勉強してXXXになった。」という人なら大勢いる。
日本でも、いったん社会人になったあとで大学に行くことはできるとはいえ少数派だし、たいてい相当の覚悟や資金が必要だが、こちらでは、高校を卒業してすぐに大学に行くのが当たり前という風潮がまったくない。
逆に、飛び級して1年早く高校に入り、そのままストレートで進学して、すでに大学生になっているという子も息子(高3)の同級生の中にいる。滅多にいないが、子供の性格や資質によっては、これも恵まれたシステムだと思う。



ついでに飛び級システムについてもご紹介します。
スウェーデンの飛び級制度
スウェーデンでは、義務教育の初等学校(Grundskolan 1〜9年生、日本の小中学校に該当、7〜15歳)で飛び級が可能。学力が高い生徒は早期に次の学年に進級してもよいという制度で、厳格なルールではなく柔軟に運用される。
【飛び級の主なルール】
- 親の希望と学校の評価に基づく。
- 生徒の学力・能力が次の学年に十分と認められることが条件。テストや成績で証明される。
- 学年を飛び級することもあるが、学年はそのままで、特定科目のみ上級カリキュラムを取るケースの方が一般的。
6歳早期入学や複数年進級が認められるため、理論上15歳未満で高校(Gymnasieskolan)に入学するケースが存在する。
過去最年少の高校生の年齢に関する公式記録は公開されていないが、一般的な事例は14歳前後が限界とされる。
★この柔軟性が、個別最適化を重視するスウェーデン教育システムの特徴といえる。
(AIで調べた内容をとーなんがまとめた。)



最年少で入学!とニュースで騒ぎ立てられることがない(=すごいこと、いいことだと煽らない)ところがいいですね。



