ストックホルム日本人会 会報第99号(2024年12月発行)に掲載のエッセイ。(650文字)
夢を覚えている頻度は人それぞれで、まったく覚えていないという人もいるが、人は誰でも一晩に3〜5回、夢を見ている。実験で、レム睡眠(急速眼球運動REMを伴う浅い眠り)中に起こされた人のほとんどが夢を見ていたことで、それが明らかになった。また、レム睡眠を妨害されて夢を見ない状態が続くと、健康に悪影響を及ぼすという研究結果も報告されており、悪夢は別として、夢を見ることによって、寝ている間に感情の処理や消化が行われているらしい。
したがって、たとえ夢を覚えていなくても、夢は心身のバランスを保つことに貢献してくれているのだが、もし夢を覚えていて関心を向けると、それは自分の深層心理(無意識)とつながる機会になる。フロイトが「夢は無意識への王道だ」と言ったことは有名である。
忘れられない夢や、繰り返し見る夢、正夢になったら嬉しい夢や困る夢、いかにも大事そうな夢もあれば、つまらない夢にしか思えないものもある。好きな人や嫌いな人が出てくることもあれば、数十年間、一度も思い出したこともない昔の知人が出てくることもあるだろう。どんな夢であれ、そのイメージや登場人物を思い浮かべながら、つらつらと連想を膨らませてみるだけでも無意識につながれるが、夢を記録しておくこともお勧めしたい。あとで読み返すと改めて意識していなかった自分の感情に気づいたり、違った角度から客観的に自分を見ることができたり、思いがけず、生きるヒントをもらえたりするかもしれない。