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宇多田ヒカル、精神分析体験を語る

1983年1月19日生まれの宇多田ヒカルはもうすぐ40歳。30歳ごろに精神分析を初めて、現在も週に3回のペースで続けていることを2022年6月、雑誌のインタビューで語った。(2,200文字+母の死についての付録ページ)

雑誌VOGUE2022年7月号より

9年近くやっている精神分析の影響もありますね。もともと自分を分析して、そのときの自分に必要だった自分の真実みたいなものが歌詞になることが多かったのが、精神分析を長くやることによって、セルフセラピーの意味合いが顕著に出てくるようになったんだと思います。

宇多田ヒカル

スー: 精神分析の話は英語のインタビューで拝読しました。具体的にどんなことをされるんですか?

宇多田: 周りの親しい友人も何人かやっていて、聞いてみたらいろいろな学派があるんです。ラカン系とかフロイト系とかユング系とか。私は精神分析医に背を向けて、窓の外を見ながら話すんです。通い始めの頃は仕事をしていない時期だったし、ちゃんとやりたかったので週5で1回20~30分。

スー: そんなに短いんですか。

宇多田: ほぼ30分。いいところで精神分析医が立ち上がって「じゃあ」みたいな感じで終わる。私が何か気づきに至った、そこ大事そう……ってところに差し掛かったらおしまい。産後は何カ月か休んで、今は週3で通っています。

宇多田さんが受けているのは、短時間の面接を特徴とするラカン派の分析だと思われます。宇多田さんは長年ロンドン在住ですが、日本でもラカン派の分析を掲げているところでは「週2回以上が望ましい」と書いてありますね。

無意識にあることが自分の言動や選択に多大な影響を及ぼしていて、なんでこんなことを繰り返しちゃうんだろう、なんでこうしちゃうんだろうっていうのをひもといていくのが趣旨です。自覚できると怖くなくなるし、悪影響を及ぼす力が減るから。過去に囚われないで生きるために、過去を理解しようということです。無意識や過去をいろいろ探検しに行かないといけなくて、自分の中のジャングルに行くみたいな感じで、そのガイドさんがいる感覚ですね。いろんなジャングルに行ったことがあるプロのガイドさんが折々、「ここに何かあるよ」って教えてくれたり、「ちょっとそっちは危ないんじゃない?」とチラッとアドバイスしてくれたり。基本的に私が好きなことを話すんですけど、時々質問を挟んでくれたり、たまにコメントがある。

宇多田ヒカル

スー: 始めようと思った動機は?

宇多田: 母親が亡くなるちょっと前、それまでほとんどこっちからは連絡できない状態で、向こうからもほとんどなかったんですが、急に連絡が増えた時期があって。そこで、カウンセリングを受けないと私もダメになっちゃいそうというか、持っていかれちゃうなって、友達にカウンセラーを紹介してもらったんです。

宇多田さんは一人っ子で、お母さんは、わたしの世代なら誰でも知っている演歌歌手の藤 圭子(1951 – 2013)です。62歳のとき、飛び降り自殺によりこの世を去ったと公表されています。

でも、カウンセラーに会いに行った日に母が亡くなっちゃったんですね。その後も一回会ったんですが、この話をこの人とするのはなんか違うなと思って。それから少し経って読み始めた心理学系の本がすごく面白かったんで友達に見せたら、「この作家さん、私仕事したことある。精神分析する人ですごい人だよ。まだクライアントをとってるかもよ」と言ってくれて。私は消極的なので自分から行動するほうじゃないんですけど、彼女が行動派で、「連絡先書いてあるじゃん、ウェブサイトからメールしてみたら」って言ってくれて。メールを送ったらすぐに返事がきて、翌日か翌々日くらいから始まりました。

本当にメールして良かったって思います。それからずっとその人。ご縁だなって思います。そういうところ、運が良いので。

宇多田ヒカル

宇多田は、子供時代に寂しさや辛さ、耐えられない気持ちや悲しみを強烈に感じて、そこから自分を守り適合するための行動パターンや思考パターンを身につけながら成長したと語っている。

そうやって身につけた行動パターンや思考パターンに、もう大丈夫だよ、もういらないんだよ、そのときは必要だったけれど、今はそれが人との関係を築いたり、自分が自分との良好な関係を保ったりするのに邪魔してるよね、っていうのを学んできた人生というか。特に精神分析を始めてからの9年で。今でも時々そういう気持ちを強烈に感じると、こんなに根底にあるんだとショックを受けたり、誰とこれを共有したらいいんだろうとか、共有できる人がいるのだろうかと思うときもあるけれど、それこそ自分に言い聞かせてきたことでもあるんだと思います。そうやって景色が豊かになっていく、自分が豊かになっていくと。

宇多田ヒカル

引用元:ファッション雑誌VOGUE

宇多田が表紙を飾った7月号掲載のロングインタビュー、その全文を公開!
ジェーン・スー 2022年6月7日

https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/in-my-mode

半年前にクライエントさんに教えていただいた情報です。

宇多田ヒカルオフィシャルサイト

冒頭のアイキャッチ画像の出典もこちら。
https://www.utadahikaru.jp/

2013年にお母さんが自殺されたことについてもこのオフィシャルサイトに書いてありましたので、次の付録ページに引用しています。

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