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ユングの塔:村上春樹「1Q84」より

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ところで、私は読んでいませんがとーなんさんの「1Q84」の引用から感じるのは、日本社会の格差がこの作品のテーマのひとつとして取り上げられているのでしょうか。

「神様はもしいたとしても、俺に対して親切だったとはとても言えない。」と感じる不遇な環境で育った人々にとって、神様は自分に対して冷たい(cold)と感じるはずです。一方で恵まれた環境で恵まれた教育を受け、恵まれた経済環境にいる者には神様は「not cold」な態度をとる。そのような格差の中に神は存在する。その不条理を作者は強調したかったのではないかと(読んでもいないのですが)感じました。
(旧約聖書のヨブ記を連想します。)

「熱いときにも冷たいときにも、神はただそこにいる。」については、どうでしょうか。

「熱い」のも「冷たい」のも決して心地よいものではありません。むしろ過酷な環境といえるでしょう。心地よいのは「暖かい」です。

「ただそこにいる神」とはヨブ記の神なのだと思います。ユングは苦し紛れに?「ヨブへの答え」を著しました。村上春樹も彼なりに「ヨブへの答え」を模索しているのかもしれませんね。

二郎

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