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村上春樹、父との20年間の絶縁と和解を綴る

村上春樹は、2019年6月号の文藝春秋で自らのルーツを初めて綴り、父親と絶縁に近い状態になって、父親が亡くなる直前まで20年以上もまったく顔を合わせなかったことを告白している。

自分が大人になっていくにつれて心理的な軋轢が明確なものになっていったとき、村上春樹は父との接点を求めることよりも、自分のやりたいことに力と意識を集中させたっかった、つまり「血縁のややこしいしがらみみたいなもの」より自分の目標の方を優先させたという。

かくして父親が亡くなる少し前、60歳近くなっていた村上春樹は父親の入院先の病院を訪ね、90歳になった父と「ぎこちない会話を交わし、和解のようなことを行った」そうだ。

そして村上春樹は痩せ細った父を前にして、幼い頃の思い出を振り返りながらこう感じている。

「考え方は違っても、僕らのあいだを繋ぐ線のようなものが、ひとつの力を持って僕の中で作用してきたことは間違いのないところだった。」

「ひとつひとつのささやかなものごとの限りない集積が、僕という人間をこれまでにかたち作ってきたのだ。」

「文藝春秋」2019年6月号掲載の村上春樹の特別寄稿

長いエッセイの表紙には、バッターボックスに立ってにっこりしている春樹少年と、キャッチャー役のお父さんの白黒写真が掲載されている。

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