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死ぬときに後悔すること

終末医療にたずさわったオーストラリア人の看護師Bronnie Wareは、治る見込みのない病を抱えた人たちと、彼らの人生最期の3~12週間を共にしました。

そのとき、死を目の前にした人々に向かって、自分の人生で後悔することがあるか、あるいは、もっと違った風に生きることができたらよかったと思うことがあるかと問いかけたとき、その回答の多くは、以下のカテゴリーのどれかに該当するものであったと言っています。

1. 周りが期待するようにではなく、もっと自分に正直に生きる勇気があればよかったのに。

もっとも多く見られる共通の後悔がこれだそうです。

自分の人生がもう残りわずかという時になって、自分の人生を振り返ったとき、やりたいと思いながらできなかったことが、たくさんあることに人は気づくものです。

そして、それができなかったのは、他の誰のせいでもなく、自分自身が、「やる」という選択をしなかったからだということを知りながら、死んでいかなければならないのです。

そしてWareは言っています。健康が、自由を意味することに気づいている人は、とても少ないと。

健康が失われたときに初めてそれに気づき、それに気づいたときには、遅すぎるのだと。

2. あんなに働くんじゃなかった!

Wareが看護した男性患者は、みんな例外なく、こう言ったそうです。

(キャリアウーマンたちにも、もちろんこの後悔はあるのだけれど、Wareが接した人たちの多くが高齢者で、その世代には、キャリアウーマンは、今よりも少なかったということです。)

子供たちが小さい頃、いっしょに遊んでやれなかったことや、パートナーとゆっくりいっしょに過ごせなかったことを無念に思いながら、職場で歯車のひとつとして自分の人生を捧げたことに深く後悔するのです。

3. もっと勇気を出して、自分の感情を表現して生きられたらよかった。

多くの人が、他者と諍いを起こさず、平穏無事にやっていくために、感情を抑圧して生きていきながら、無難で平凡な存在に落ち着いてしまい、本来の自分の個性を発揮できないままでいます。

皮肉なことに、この抑圧こそが、身体的な病を引き起こしていたりもすると言います。

Wareからのアドバイスは、こうです。

他人の反応をコントロールすることはできません。もしあなたが、今までよりも、もっと率直に話すようになったら、はじめ、人は、戸惑って、変な反応をするかもしれません。

でも、結局のところ、それは、まったく新しい、そしてもっと健全な関係を生み出すかもしれません。

あるいは、その人があなたの元を去ってしまい、あなたはその人を失うかもしれませんが、それによって、あなたは不健全な人間関係から解放されることになります。

どっちに転んだって、吉というわけです。

4. 昔の友人を、もっと大切にするべきだった。

昔の友人たちの存在が、いかに大切だったかということに、人は、死の間際になって、やっと気づきます。

彼らを心からなつかしんだとき、そのときには、もう音信不通が長く続きすぎて、連絡の取りようもないということになっているのです。

日々の現実生活、とくに経済生活を維持していくことに気をとられ、流されていくうちに、昔の友人とはすっかり疎遠になってしまうことは、誰にでも起こりがちですが、人生最期に、思いを馳せるのは、お金や社会的地位ではなく、人であり、愛情であり、人間関係なのです。

5. もっと幸せになりたかった。

意外な、しかし驚くほど多い回答だそうです。

多くの人が、自分の古いやり方やパターンにはまったまま、状況は変えられないとあきらめて、幸せでない現状に甘んじて生きてしまいがちです。

なじみのある状態をよしとし、変化を恐れ、自分の人生にそれなりに満足しているふりをして生きてきたけれど、本当は、心の底から笑っていなかったのです。

死にゆくあなたにとって、他人があなたのことをどう思うかなんて、関係ありません。まだ死が近づいていない今のうちから、そんなことを気にせず、笑って生きていきましょう。それを選択するのはあなたです。人生は選択なのですから。

Life is a choice. It is YOUR life. Choose consciously, choose wisely, choose honestly. Choose happiness.

・・・Wareからのメッセージです。

※英語の原文はhttp://bronnieware.com/Regrets-of-the-Dying.htmlをご参照ください。このページの内容は、すべてWareの文章を翻訳したものです。(一部、加筆単語もあり。)

※このWareのブログは、反響を呼び、2013年3月、書籍化(The Top Five Regrets of the Dying: A Life Transformed by the Dearly Departing)され、同年12月には、日本語翻訳版(ブロニー・ウェア「死ぬ瞬間の5つの後悔」)も出版されています。

死ぬ瞬間の5つの後悔

日本では、川嶋 朗氏の「医者が教える 人が死ぬときに後悔する34のリスト」(2013年6月)が、ベストセラーになったそうです。

※この記事は、「ストックホルム日本人会会報」2012年秋号と同年10月の旧ブログに掲載した内容に、加筆したものです。

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