日本語のできない義兄から、おもしろい話が完璧な日本語で送られてきたと思ったら、わたしは知りませんでしたがパウロ・コエーリョの有名な話でした。世界各国の言葉に翻訳されてインターネット上で読めます。
漁師とビジネスマン
むかしむかしある所に、あるビジネスマンが居ました。
ある日の事、そのビジネスマンがブラジルの小さな漁村の砂浜で腰掛けていますと、漁師が小さな船に乗り魚を捕まえているのが見えました。
漁師は大きな魚をいくつか釣り上げ、浜に帰ってきました。
ビジネスマンは驚き、その漁師に聞きました。
「それだけの魚を捕るのに、どれぐらい時間が掛かるのかね?」
漁師は答えました。
「いや、何、それほど掛からないさ」
「何故きみはもっと長い時間海に出て、もっとたくさん魚を捕らないのかね?」
とビジネスマンは驚き、漁師に聞きました。
「何故って、だってこれだけあれば、家族を養うのに十分だからだよ」
「残りの時間を君はいったい何をして過ごしているんだい?
「そうだね、私はいつも朝早くに起きて、それで漁に行き魚を何匹か捕ります。その後は家に帰って子供達と遊んでやります。そして昼には妻と一緒に昼寝をして、夕方には村の衆と酒を飲んでいます。
私達はギターを弾き歌い、夜通し踊るのです」
それを聞き、ビジネマンはその漁師に進言をする事にした。
「私は経営管理のマネージャーをやっています。私はあなたを成功へと導く手助けができます!
・・・・これから、あなたにはもっと長い時間海で漁をするようアドバイスします。そうすると、今よりも水揚げ量が上がります。
そして、その売上金であなたは大きい船を購入するのです。大きい船があると、更に水揚げ量が上がり、その売上金で漁船をたくさん購入する事が出来るでしょう。
あなたは会社を設立し、缶詰工場を作り、独自の販売ルートで売り上げを拡張する事が出来るのです。
その頃には、あなたはこの小さな漁村からサンパウロへと移り住み本社ビルを都内に建てる事が出来るでしょう!」
「・・・・・それで、その後は?」
「その後、あなたには王様のような暮らしが待っているのですよ!株式に上場すれば、あなたは大金持ちになるんですから!」
「・・・・・それで、その後は?」
「その後あなたは引退をして小さな漁村に移り住み、朝早くに起きて漁に行き魚を何匹か捕り、その後は家に帰って子供達と遊び、そして昼には妻と一緒に昼寝をして、夕方には村の衆と酒を飲み、ギターを弾き歌い、夜通し踊るのです!」
それを聞き漁師は怪訝な顔してビジネスマンに言った。
「・・・今、まさに私はそのような生活をしているのだが。」
この記事の出典は、Paulo Coelho’s Blog、翻訳は日本人のケン・クレーン氏(2012年)です。パウロ・コエーリョといえばアルケミスト―夢を旅した少年
で、おなじみですね。