400文字.
私はずっと、ただ幸福な娘で、それなのにどうしてか時折、無償に思ったのだ。
吉本ばなな「哀しい予感」より
「私は子供時代の記憶というだけでなく、重大な何かを忘れてしまっているんだ。」
そして何よりいつものように心の奥底がしっかりと光って「真実」を訴えていた。こういうカンははずれない。はずれてほしくたって、はずれないのだ。だから、宙に浮いているような心もとない気分だった。
吉本ばなな「哀しい予感」より
それはおばの背負っている、女としの暗黒の魔力だ。あの髪や甘く響く声や、ピアノを弾く細い指のその向こうに彼女は何かとほうもなく巨大ななつかしさを隠している。それが、失われた子供時代を持つ人にはきっと特別よくわかるのだ。夜よりも深く、永遠よりも長い、はるかな何か。
吉本ばなな「哀しい予感」より
仕事中に話に出てきた参考図書を読んで、わたしの目に留まった箇所を抜き書きしました。
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