あのJAL機に乗っていたスウェーデン人のインタビュー他、事故のニュースを聞いて思いを馳せたサバイバーズギルトと映画の話など。(1,800文字)
2024年1月2日に羽田空港で起きたJAL機の衝突事故のニュース速報を聞いたとき、いちばん気になったのは、海上保安庁の小型飛行機の機長のことだった。もし自分がその立場で、同乗していた他の5人が全員亡くなり機長の自分だけが助かるという状況に置かれたら・・・。その後の報道では、この機長が管制官からの指示を取り違えた可能性があるなどとも言われていて、そうなると話はまた複雑になるが、責任の所在はさておいても、彼が一生背負い続けるサバイバーズ・ギルトは想像するに余りある。
サバイバーズギルトとは
サバイバーズギルト(survivor’s guilt)とは:災害、事故、事件、虐待などに遭いながら助かった人が、同じ体験を経ながらも助からなかった人に対し、しばしば感じる罪悪感のこと。「サバイバー」は「生き残り」を、「ギルト」は「罪悪感」を意味する英語。症状には個人差があり、軽い罪責感にさいなまれるものから、重い場合には、不眠、抑うつ、不安、無力感が長期間認められることもある。中には専門的な援助や、精神科治療を必要とする場合もある。(時事用語事典より)
映画「ゴジラ・マイナスワン」の主人公もサバイバーズギルトで苦しんでいた
これまでゴジラ映画には関心がなく観たこともなかったが、日本の高校生に今回のゴジラは特別だと教えてもらって、ストックホルムの映画館に足を運んだのは数日前のこと。予備知識がないまま観たが、よく出来た見応えのある作品で、戦争で生き残った元特攻兵の主人公が、サバイバーズギルトに苦しんでいた。
ゴジラだけにエンタメ要素満載な分、若干白ける箇所もいくつかありましたが、それを差し引いても観る価値がある、と周りのスウェーデン人にも宣伝しました。スウェーデンでは話題になっておらず、ゴールデンタイムには上映されていません。
必見の戦争映画「永遠のゼロ」
「永遠のゼロ」(2013)の主人公は最終的には生き残らないが、戦地で十二分にサバイバーズギルトを味わっている。最近 観て感銘を受け、続けて2回観た。ゴジラ映画情報をくれた高校生に、ゴジラ・マイナスワンを観て「永遠のゼロ」を思い出したと報告したら、監督が同じだと教えてもらって驚いた。
「永遠のゼロ」は、個人的にはゴジラよりももっとお勧めしたい映画です。名前は聞いたことあるけど観たことはないという方、ぜひご覧ください。
僕は原作の「永遠のゼロ」(百田 尚樹 2009)の方をお勧めします。
原作もぜひ読んでみたいです!
特攻隊の本といえば、「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書) – 鴻上 尚史, 2017」も必読リストに入っています。日本語に堪能なスイス人の分析家が、ドイツ語に翻訳して出版しようとしたほどの本なので。
日航機にはスウェーデン人一家も乗っていた
炎上した日航機には冬休みで日本旅行中だったスウェーデン人一家も乗っていて、17歳の高校生の男の子がオーストラリアのテレビ局のインタビューを受けていた。一家4人で同機に乗っており、フライトアテンダントの指示が、終始日本語だけだったのでさっぱりわからなかったと言っている。
乗客に外国人が少数だったのだろうが、それは幸いだったと思う。海外メディアは一斉に「日本人だったからこそ、JAL機の全員が助かった」と、日本人の集団を重んじる国民性を称賛している。311直後の様子が報道されたとき、日本人がパニックになることなく冷静で紳士的な態度でいるのを見て、西洋人たちが自分たちだったらこうはいかないと舌を巻いていたのも思い出す。
下の5分動画、英語を勉強中の方は聞いてみてください。ストックホルムの高校生の多くが、母国語ではない外国語をこのぐらい上手に話します。
(わたしは通常スピードで1回聞いただけでは細部が聞き取れませんでした。)
持ち物は全部焼けたので、今、着ているこの服もH&M(IKEAと同格のスウェーデン大衆ブランド)で買ったものだと言っている。腕のギプスは1週間前に怪我したそうだ。おそらく北海道でスキーをしての帰り道だったのだろう。パウダースノーで名高い日本のスキーリゾートは、ヨーロッパ人にも人気がある。
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