バランスを取るといえばこれまで天秤を頭に思い浮かべていたが、天秤以外でとても参考になる別のイメージを仕事中に教えてもらった。
宥座之器(ゆうざのき)
「ゆうざのき」とは、自らの戒めとするために身近に置いてある道具のこと。「宥坐」は身近や身の回りという意味。
四字熟語辞典オンラインより
桓公(かんこう)の墓にあった器は「水が入っていない空の時は傾き、水を適度に入れるとまっすぐに立ち、水が満ちるとひっくり返り全てこぼれる」という。
絵の中には三つの壺がぶらさがっている。
●右の壺:中が空っぽだと傾いてしまう。
●真ん中の壺:ほどよく水が入っているとまっすぐになる。
●左の壺:水を入れすぎるとひっくり返ってしまう。
右に立っているのが孔子が
知を持つものは愚を自覚し、
功績を持つものは謙譲の心をもち、
力を持つものは恐れを忘れず、
富があるものは謙遜を忘れずに
正しい姿勢を保て
と説いたという話。中庸の大切さを説く故事成語で、「足るを知る」とか「過ぎたるは及ばざるがごとし」にもつながるだろうが、わたしが面白いと思ったのは空っぽでもだめだというところだ。空っぽがいけないというのは天秤のイメージには含まれないと思う。両方空っぽでも天秤は釣り合う。
水が示すものとして孔子の言う富や権力、名誉、知性だけでなく、意欲、気力、食欲、性欲、体力、愛情、厳しさ、女らしさ、男らしさ、繊細さ、鈍感さ・・・等々いろいろ当てはめて連想を膨らませることができる。
付録:宥座之器を試せる場所
栃木県足利市、足利学校
東京 湯島聖堂
長崎孔子廟・中国歴代博物館
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