「家」と聞いて、最初に頭に思い浮かぶのは?
今、住んでいる家ですか? 子供の頃に住んでいた家ですか? 将来、住むつもりの家? 思い浮かぶのは建物やアパートですか? それとも家の中? あるいは家族の顔が浮かんでくるかもしれませんし、外国に住んでいる人なら、日本を漠然と思い浮かべるかもしれません。はたまた、ホームドラマに出てくるイメージが思い浮かぶ人もいれば、家と聞くと、家庭内での喧嘩や確執などの暗くて嫌な出来事を思い出したり、あれこれの期待や義務を思い出して重い気分になる人もいるでしょう。「家」は、人それぞれに、いろんなイメージや感情を想起させる言葉だと思います。
さて、改めて家を「自分の居場所」と定義したとき、それがどこなのか即答できなかったり、そんな場所はないなぁということもあります。つまり自分の居場所としてのホームは、あって当然のものではなく、心理的な意味で「ホームレス」は他人事ではありません。この心理的ホームレス感覚は、ある特定の場所を持っていないというだけでなく、人や何かとつながっている感じのなさや孤独感だとも言えます。
”Home is where the heart is.”と言われることもありますが、なるほどと思う一方、自分のハートがどこにあるのかはっきりイメージするのは結構難しいことです。「ホームシック」にかかれるのも、恋しく思うホームがあってこそ。心理的ホームレスに言わせるとホームシックはぜいたくな病ということになるかもしれません。
※ストックホルム日本人会会報86号に掲載した内容です。