SF映画の「ブレードランナー」について教えてもらいました。(わたしにはよくあることですが、)超がつくぐらい有名なのに知らない映画のひとつで、まだ映画は観ていないのですが、あらすじを聞いただけで感じるところがありましたので、実際の映画とはズレるかもしれませんが勝手なことを書いてみます。
現代の「ロイ・バッティ」へのエール
まず、ウィキペディアより、この映画について。
『ブレードランナー』(原題:Blade Runner)は、1982年公開のアメリカ映画。フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(原題:Do androids dream of electric sheep?)を原作としている。
SF映画の金字塔として評され、1993年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。
本作が提示した猥雑でアジア的な近未来世界のイメージは1980年代にSF界で台頭したサイバーパンクムーブメントと共鳴し、小説・映画は元よりアニメ・マンガ・ゲームなど後の様々なメディアのSF作品にも決定的な影響を与えることとなった。
(ウィキペディアより引用)
話の内容は、こうです。
2019年、地球環境の悪化により人類の大半は宇宙に移住し、地球に残った人々は人口過密の高層ビル群が立ち並ぶ都市部での生活を強いられていた。宇宙開拓の前線では遺伝子工学により開発された「レプリカント」と呼ばれる人造人間が、奴隷として過酷な作業に従事していた。レプリカントは、外見上は本物の人間と全く見分けがつかないが、過去の人生経験が無いために「感情移入」する能力が欠如していた。ところが製造から数年経てば彼らにも感情が芽生え、人間に反旗を翻す事態にまで発展した。しばしば反乱を起こし人間社会に紛れ込む彼等を「処刑」するために結成されたのが、専任捜査官“ブレードランナー”(主演ハリソン・フォード Harrison Fordが演じるデッカードRick Deckardの職業。)である。
(ウィキペディアを加筆して引用)
人間に反旗を翻したのは、多くの人造人間(レプリカント)の中でも、格別に高い能力を持つレプリカントたちで、宇宙での理不尽な強制労働に反発して脱走、密かに地球に帰還し潜伏します。そして処刑の対象になって‟ブレードランナー”に追われるのです。
現実の社会の中でも、高い能力を持つ人ほど、‟奴隷”でいることに憤りを感じる度合が強くなることがあります。
‟奴隷”とまで言わなくても、‟歯車のひとつ”というのも似たようなニュアンスがあります。
持っている能力を正当に評価され、それに見合った仕事と報酬が与えれる、そんな当然であるはずのことがかなわないばかりか、労働力の提供者として尊重されることさえないとき、そしてその理不尽さを受け入れるしかないとき、人より高い能力や、優秀さは、役に立たないだけでなく邪魔になります。(本筋からそれますが、ついでに人間らしい感受性も、優秀さと並んで邪魔になると思います。)
そして、不当な扱いを受ける‟奴隷”であることへの正当な反発を態度や行動に表すや、たちまち「処刑の対象」になってしまうのです。
現実の社会では、解雇や左遷や格下げ、または村八分というのが、組織やグループ内における‟処刑”といえます。
専任捜査官“ブレードランナー”の標的となっている、脱走中の優れたアンドロイドたちには、開発者のタイレル博士によって、4年の寿命という「安全装置」が組み込まれています。製造後、数年経って人造人間に感情が生じてしまうと面倒なことになるので、その前に葬ってしまえ、そうすれば、使い捨てにできて好都合というわけです。
(こういう考え方をする‟支配者”についても、最近、関心を持っているのですが、これはまた別の機会に書こうと思います。)
「レプリカントは私たち現代人の分身である」と、書かれているサイトがありました。
短い命の中で、過酷な労働に耐えながら、愛し合い、少しでも長く生きようともがく。興味本位でレプリカントたちの死闘を観ていたあなたも、物語が進むにつれ、いつの間にかレプリカントたちに感情移入していることに気づくでしょう。なぜなら4年の寿命という極端な設定を外せば、彼らの生き様は現代に葛藤しながら生きる、私たちの姿そのものだからです。
(https://puul.jp/12851より引用。)
とはいえ、葛藤の程度は人によってまったく違いますし、葛藤を抑圧して感じないようにしている人もいるでしょうし、最初から感じていない人もいるでしょう。
また、「葛藤しながら生きているわたしたち」の中に、実際に闘っている人がどれほどいるかというと、それはごく少数だと思います。
その少数の人たちの姿を、ルトガー・ハウアー(Rutger Hauer)演じるロイ・バッティ(Roy Batty)に重ねることができます。有能なレプリカント、バッティは、脱走グループのリーダーで、最後まで生き残って、ブレードランナーであるハリソンフォードと対決します。
この映画のクライマックスは、バッティの、絶命直前のモノローグのシーン。以下のYoutube動画には、日本語字幕がついていませんので、「有名かもしれないけど、自分も知らない。(そして日本語が欲しい。)」という方は、まず台詞を読んで頭に入れてからご覧ください。多くの人々の涙を誘ったおなじみの名セリフで、”Tears in Rain” monologue(雨の中、涙の独白)と称されています。
お前たち人間には信じられない光景を俺は見てきた
オリオン座の肩の近くで炎を上げる戦闘艦・・・
暗黒に沈むタンホイザーゲートのそばで瞬くCビーム…
そんな記憶もみな、時とともに消えてしまう
雨の中の涙のように・・・
俺も死ぬときがきた(原文)
I’ve seen things you people wouldn’t believe. Attack ships on fire off the shoulder of Orion. I watched C-beams glitter in the dark near the Tannhäuser Gate. All those moments will be lost in time, like tears…in…rain. Time to die.
バッティは、人間にはできないことができるがゆえに、人間が行くことのできないところに行って、人間のためにいろいろなことを成してきました。
彼が見てきた人間の知らない世界の記憶も、彼の死によって、すべて雨の中の涙のように消えてなくなってしまうのです。
有能であるのに、というよりも有能であるからこそ、葬られる危機に直面せざるを得ない現代のロイ・バッティも、きっと「ふつうの人間が見たことのない」光景を見たり、体験したに違いありません。
「ブレードランナー続編」2017年公開!
本編公開から、実に35年を経て、同監督(リドリー・スコットRidley Scott)による、”Blade Runner 2″の制作が決まり、2017年10月、全米で公開予定ということです。ハリソンフォード以外のキャストに関心がある方は、こちら(英語のサイト)をご覧ください。
http://www.comingsoon.net/movie/blade-runner-sequel-2017
リドリー・スコット監督は、1937年11月30日生まれのイギリス人で2016年6月現在78歳。
ハリソン・フォードの方は、1942年7月13日生まれで73歳です。
わたし同様、ブレードランナーをまだ観ていない、という人は続編公開前に観ておかないと、話についていけない!?