フロイト派とユング派の精神分析の違い
古典的フロイト派の精神分析では、患者は長椅子に横になって頭に浮かんだことを独りで語り続け、分析家は患者からは見えないその後ろに黙って座ります。この形で50分を週に5回というのが基本です。
これに対しユングは、分析は、分析家と被分析者が平等に関わり合う、双方向のやりとりの中で進んでいくものだと主張し、患者に向かい合って座り、頻度のルールも厳格ではありませんでした。
ですからユング派の精神分析は、名前から連想するような堅苦しいものではなく、一見、ふつうのカウンセリングとなんら変わりはありません。
分析過程
ユングは分析過程を4つの段階に分けています。
1. 告白
これまで抱えてきた秘密を分析家に打ち明けるという、最初のカタルシスの段階。
2. 解明
フロイト派の「解釈的」分析に相当する段階。症状や転移現象が検討され、うまく発達をとげられなかった領域が突き止められる
3. 教育
1,2の段階で得られた洞察が、実生活に持ち込まれる段階。自分を以前と違ったものと感じるようになり、新しい生き方を模索し始める。たいていの場合、同時に社会的適応が改善される。
4. 変容
無意識への取り組みを通じて、活性化された元型的要素と向き合う段階。個性化の追求が始まり、同時に「自己本位」になる。たんなる「正常」とか「社会に適応している」といったことを超え、自分自身を独立したひとつの全体的実体として認め、受け入れる。
(参考:「ユング」アンソニー・スティーヴンズ著、鈴木唱訳)