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19世紀の伝説「裸の真実と嘘」:恥の起源

下の絵画はフランスの画家ジャン=レオン・ジェローム(Jean-Léon Gérôme, 1824 – 1904年)による「井戸から出てくる<真実> (Truth Coming Out of Her Well)(1896)」。古代ギリシャの哲学者デモクリトスが言ったとされる「真実は井戸の底に横たわっている」という言葉に基づく寓意画である。

19世紀の伝説に「裸の真実と嘘」という話があり、日本語で探せなかったので拙訳した。

「裸の真実と嘘 (The Naked Truth and the Lie)」

ある日のこと、真実が道で出会った。真実に言った。「なんて素敵な日なんでしょう!」と。そこで真実が空を見上げると、たしかに素晴らしいお天気だったのでうなずいた。二人がしばらくいっしょに歩いていると、美しい井戸があった。真実に言った。「なんて気持ちよさそうな井戸の水だこと。一緒に入りましょうよ!」真実はためらいながらも水を触ってみると、たしかに気持ちがよかったので同意した。

二人は服を脱いで水浴びを始めた。と、が突然、井戸から飛び出したかと思うと自分ひとり洋服を着て真実の衣類を持ったまま、近くの村に逃げて行った。怒った真実は慌てて飛び出し、を見つけて自分の衣類を取り戻そうと追いかけた。素っ裸の真実を見た村人は仰天し、軽蔑や怒りをこめた態度で目をそらした。

哀れな真実は井戸に戻り、恥を隠して二度と姿を現すことはなかった。

その日から、真実の衣を身にまとい世界中を旅した。

こちらの英文をとーなんが訳)

”真実”が軽蔑や嘲笑の対象となって”恥”を伴い、身を隠さなければいけなくなった一方で、”嘘”は”真実”の衣を着て世の中を闊歩するというメタファーに、いろいろ考えさせられますね。

冒頭の絵画は、ロシア語では「人類に恥を知らせるため井戸から出てくる〈真実〉」と題されている。

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