夢分析を実際に受けられたことのない方は、「理論」だけ読んでもぴんと来ないと思いますし、あまり役に立たないとも思いますが、理論的にはこういうことになります。
ユングの弟子のヨランダ・ヤコビによる7段階を参考にまとめます。
- 意識水準の低下が起こる。(たとえば寝ているとき。)
- 無意識の内容が、夢・幻想・空想の形で浮かびあがる。
- それが意識によって知覚され、捉えられる。
- 知覚された内容について、その「意味」を明確化し、解釈し理解する。
- その意味を、本人の心の状況に当てはめてみる。
- その意味を自分の心の状況として受け入れる。受け入れられない場合は、受け入れられる形と程度を模索する。
- その意味を自分の心の中に統合し、内在化していく。=意識化していく。
実際には、1~3は誰でもやっていることで、4~7が「夢分析」ということになります。夢分析の目的は、夢分析を受ける人の意識化にほかならないのですから、この4~7も、本人が主体的にしなくては意味がありません。もし仮に分析家が「正しい解釈」をしたとしても、それを本人が納得できなければ、それはなんの力も発揮しないのです。
ユングは、「人間と象徴」の「夢の分析」の項で以下のように言っています。
わたしは、自分が誰かの夢を十分に理解して、それを正しく解釈することは絶対にないのだということを、自分に言い聞かせるのを常としている。こうすることによって、自分自身の連想や反応の流れが、クライアントのそれを上回ることのないようチェックしている。分析家が夢の個々のメッセージ(無意識が意識にしようとしている貢献)をできる限り性格に受け取ることは、最大の重要性をもっているため、夢の内容を徹底的に探究することは分析家にとって必須なのである。