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小川捷之氏の精神分析体験

小川捷之氏(1938 – 1996:生前は上智大学教授で山王教育研究所を主催)は、1980年にアメリカでユング派の精神分析家による分析を受けたときのことを以下のように書いています。

精神分析は、自分自身のコンプレックスを明確にし、無意識の世界を探求することである。ほぼ1年間、いままでの自分を振り返り、自分の心の内奥のことばかり考えて暮らしてきた。

帰国後、周囲の人から、私がどんな劇的な内的体験をしたかとか何がどう変わったのかとさかんに聞かれるが、とくにこれが自分を変えたなどという夢もなければ、誇るべき体験もなかった。私の返答にさっぱり要領を得ないので、失望した人がいた。しかし、何がどうしたかはわからないが、自分の何かが変わったことは確かである。

意識世界の拡大というのは、得てしてこのような小さな体験※の積み重ねで、努力しているうちにしだいに成立してくるもののようである。しかし、自分のことを振り返ってみて、本当のところは、自分が向き合っている現実を現実そのものとして直面する「小さな勇気」の積み重ねのようである。そして、こうした意識というか、自我の冒険が私たちの意識を着実に豊かにするようである。

※「このような小さな体験」の内容は、夢分析のカテゴリーで紹介。

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