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心理療法やセッションの頻度について

過去記事再掲

(公開日:2012年10月19日)
先日、ストックホルムで、ユング派分析家の集まりに行ったときのことです。

何十年も前にスイスで資格を取ってもう引退間近の分析家が、「自分は、分析家になって以来、ずっと週2回を基本として分析をやってきた。どんなに少ないクライエントでも週1度。それより少ない頻度ではやるつもりがなかったし、やったこともない」と話しました。

そして、「数週間に一度しか来れないとか、定期的に来ることが難しいというクライエントを受け入れるべきか。」という議論になったのです。

「受け入れるべきではない。」という発想がまるでなかったわたしは、少なからず驚きました。

どうも、他の分析家たちは、「週にx回、来てください。次は、x日に来てください。」と、病院の医師と同じように決めることも多いようなのですが、わたしは、よほど緊急の問題がある人でもない限りはそんなことを言ったことがありません。

とにかく一度だけやってみる→もっとやってみたいと思えば数回試してみる→そのあと続ける場合は、自分で頻度を決めてもらう

というのがわたしのやり方で、その結果、わたしとワークしている人には、「月1回ペース」という人も結構いますし、わたしが日本に行ったときだけ、つまり1年に1回か、多くても1年に2回しかセッションを受けないという人もいるのです。

1年に1度や2度では、「分析をやっている」とはいえないかもしれませんが、それでも「意味」はあります。以前にも書きましたが、その「濃密な」時間は、かけがえのない貴重な時間なのです。

「1か月に1度のセッション」で、それを「分析をやっている」といえるかどうかと聞かれると、答えに困るところですが、それをどんな名称で呼ぼうが呼ぶまいが、見えてくるものや得るものがあります。

たとえ1カ月に1度でも、定期的に自分のこころを見つめようとすることは、自分のこころに敬意を払うことですし、1か月に1度といっても、忙しい日々に追われているうちにあっという間にやってくるので、現実生活にあまり関係ないようにも見えがちな「こころという神殿詣で」を続けることはそれなりの意志がなければ続きません。

そして、何度も言うようですが、分析は高い!のです。

したがって、分析を受ける頻度は、「1週間に1度より少なくてもいい、10日に1度、2週間に1度、ひいては1カ月に1度でもいい!」というのがわたしの意見です。

頻度を上げれば、それだけ効率よく無意識が活性化するので、展開が早いことが多いのは、たしかです。

1か月に1度より、2週間に1度、2週間に1度より1週間に1度、1週間に1度より1週間に2度・・・もし状況が許せば、それはやってみる価値のあることだと思います。
でもそれが負担になるようだったら、決して無理せず、「たとえ頻度が少なくても、意味はある」ことに目を向けた方がいいと思います。

(2012年10月9日に別のブログで公開したものをこのブログに移動した。)

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